あなたが私にできる事
そばにいられる幸せ
もうすぐ新学期が始まるという頃、ようやく美紀と連絡が取れた。
クリーニングに出しておいた浴衣を彼女に返し、預けっぱなしだった私の服を返してもらう。
「なんか美紀、元気なくない?」
「ん~。そう?夏バテだよ。夏バテ。」
少し痩せた気がして小柄な彼女がさらに小さく見える。
「それよりどうだったの?」
「何が?」
「花火大会の時だよ!ヤマと二人で消えたでしょ!?」
「別に。何もないよ。」
なんとなく言いたくなかった。
二人で過ごしたあの時間は私の中だけに留めておきたい。
「美紀の方こそ連絡とれなかったけど何かあったの?」
「別に何もないよ~。」
うだるような暑さの中、私たちは残り少ない高校生活最後の夏を楽しんだ。