あなたが私にできる事
いつまで続くのかとうんざりしていた暑さも治まり、もう秋がすぐそこまで来ていた。
またこの季節が巡ってくる。
「神崎さんは先に教室に戻ってなよ。ココアは俺が責任もって買っとくからさ。」
自販機の行列に並ぶ山口くんにお金を渡して購買を出た。
「あんたはいいよね。」
「痛っ!何っ!?」
横には私の髪を思いっきり引っ張る阿部真理子がいた。
「いつものお返し。」
「私こんなに強く引っ張ってないけど。」
ヒリヒリする毛根を撫でる。
「ふーん。昼ごはんパン一個だけなんだ。ふーん。」
「何?何の用?」
やけに突っかかって来る阿部さんにイラ立つ。
「用は特にないんだけどね。ただあんたとヤマが見えたから。」
「だから?」
「いいな~って思って。私も同じクラスだったら話せたのかなぁ。1年の時は一緒だったんだよ。だけど今年も、2年の時も離れちゃったから。」
彼女はパサパサの髪をいじりながらぶつぶつと言う。