あなたが私にできる事
「別に普通に話しかければいいじゃん。そんなに気まずい別れ方したの?」
言ってから思い出す。
確か、理由もわからずに一方的にフラれたんだった。
しまった!と思ったが彼女はそんなに気にしていないようだ。
「そうじゃないけどさ。ヤマは優しいから話くらいはしてくれると思う。
だけどね…、ドキドキしちゃってさ。私が。」
阿部さんは頬を染めてうつむく。
「阿部さんってかわいいね。」
「ケンカ売ってんの!?」
私を睨みながら顔を上げた阿部さんの表情が固まった。
「じゃ、私もう行くから。あっ!それとみゆきにはあんたに手出すなって言っといた。たぶん何もしないと思うよ。じゃねっ。」
慌てて廊下を走って行ってしまった。
「何あれ?」
一人で首をかしげる。
「神崎さん!大丈夫?今、真理子といたよね?」
いつの間にか後ろに山口くんが来ていた。
「だから逃げたのか。ちぇっ。もう少しからかいたかったのに。」
責めるような口調の私に山口くんは困惑していた。