あなたが私にできる事



「何話してたの?」



「気になる?元カノのこと。」



阿部さんのことを気にする山口くんにイラッとする。



「そうじゃないよ。また神崎さんに何かしたのかと思って…。」



「何もされてない。むしろ私、阿部さんのこと嫌いじゃないんだよね。」



笑う私を見て山口くんはきょとんとしている。



「早く戻ろうよ。美紀たち待ってるよ?」



「あぁ…。」



私たちは二人で廊下を走りだす。







ー大切なものを追いかけるためー





前に山口くんが阿部さんと別れた理由をそう言っていたことを思い出した。




私は立ち止まり、前を行く山口くんに問いかける。



「山口くんの大切なものってなに…?」



彼は聞こえていないのか一人で走って行ってしまう。




私はその“大切なもの”を越えられるのだろうか。



いつか…、そんな日が来るのだろうか。







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