あなたが私にできる事
沈黙が続く。
私の気持ちなんて知らないかのような笑い声が響いた。
私たちの後ろのテーブルは女の子の集団だ。
みんな楽しそうにおしゃべりをしている。
「好きなら別れる必要なくね?」
山口くんの言う通りだ。
それでも私には別れる必要があった。
好きだからこそ。
好かれているからこそ。
「私の好きと彼の好きは違うんだ。」
「恋と友情的な話?」
「違う。恋同士の話。」
空になったお皿を眺めながら和希との日々を思い返していた。
初めて会った日のこと。
告白された日のこと。
デートした日のこと。
何もかもが楽しい思い出だ。
だけどその思い出が増えることはもうない。
それは淋しいことだった。
それと同時にほっとすることでもあった。
そんな自分にうんざりする。
山口くんも空になったお皿を見つめていた。
やっぱり私の気持ちなんて誰にもわからない。