あなたが私にできる事
美紀と入れ違いに山口くんが教室に入ってきた。
「なんかみっきーが怒りながら歩いてたけど…。何かあったの?」
「そっとしといてあげて。いろいろあるみたいだから。」
「いろいろ?」
「女の感だってさ。」
「神崎さん、恭一が何言ってんだかサッパリわからないんだけど。」
山口くんが私に説明を促した。
「人生には越えなければならない山がいくつもあるってことだよ。」
私の答えに彼は余計に頭を悩ませている。
高校3年生とはなんて難しい時期なんだろう。
就職すればこの先の人生が決まる。
進学すれば人生の選択肢がまだ広がる。
そして、今まで以上に別れや出会いが多くなる。
私はさり気なく、だけどすごく意識して、思い切って聞いた。
「山口くんは進路どうするの?」
彼は少し戸惑いながら答えてくれた。