あなたが私にできる事
聞かなければよかった。
そう思うべきか。
聞いといてよかった。
そう思うべきか。
どのみち、受け入れたくないことだけは確かだった。
「いいよな~。来年から一人暮らしだろ?」
恭ちゃん声がやけに遠く聞こえる。
山口くんの志望大学はここから遠く離れた所だった。
「しかも都会だし。絶対遊びに行くから泊めろよな!」
同性なら、友達なら、私もそう言えただろうか。
「神崎さんも遊びにおいで。」
なんで山口くんは笑っていられるの?
「おい。ヤマ。そのセリフは合格してから言えよ?」
そうだ。落ちてしまえばいい。
その時の私は不謹慎ながらも本気でそう願った。