あなたが私にできる事
私はなんて貪欲な人間なんだろう。
告白する気もなく、友達でいたいだけ。
そんな私に彼の人生に口出しできる権利なんてない。
もしかしたらこれがチャンスなのかもしれない。
山口くんが遠く離れた所に行ってしまえば、
簡単には会えない状況になれば、
私の恋心も消えてなくなるかもしれない。
消えてしまえばいいんだ。
そうすればこの切なさも、嫉妬心も、もどかしさもなくなる。
「がんばってね。」
「ん?」
恭ちゃんと盛り上がっていた山口くんが私を見る。
「受験。頑張ってね。」
一瞬、その顔が戸惑ったように見えた。
「…あぁ。」
いつもの笑顔で微笑む。
「頑張るよ。」
山口くんと離れ離れになるまで、あと半年もない。
その間に私は何ができるだろう。