あなたが私にできる事


「家まで送れなくてごめんね。さすがに神崎さん家まで原付の2ケツで行ったら警察捕まりそうだから…。」



彼はそう言って笑う。




私が無理矢理話を打ち切ったことは気にしていないようだ。



「山口くん家ってどこなの?」



「あっち」



今来た方向を指しながら答えた。



「あっちって…。どっち?ま、いいや。送ってくれてありがと。じゃあね。」



ファミレスから一番近い駅で私たちは別れた。


改札を抜けてホームに出る。
電車はあと1分で来るらしい。


人もまばらなホームに大きな声が響いた。





「神崎恵梨香ー!!」




自分の名前が呼ばれたことに驚いて後ろを振り返る。




線路に沿って走っている道路に原付にまたがった山口くんがいた。


そして私に向かってブンブン手を振っている。




「また明日ー!」




それだけ言い、彼は去って行った。




残された私は電車に乗り込むまでまわりの好奇な目にさらされることとなった。




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