あなたが私にできる事
私の足に何かが当たる感触がした。
「俺さ、実は…、」
「あっ!!」
「あ?」
私はそれを拾い上げて山口くんに見せる。
「ほら!」
「カメ吉~!!」
カメ吉は降ろして欲しそうに手足をバタバタと動かす。
「っていうか冬眠してるんじゃなかったの?すごい動いてるけど。」
「う~ん。ただの脱走だったのかも。」
山口くんが亀の様に首をすくめる。
「ま、いいじゃん。おかげで神崎さんを呼び出すきっかけも作ってくれたわけだし。」
「もー。いい加減過ぎる!
で?今、何言おうとしてたの?」
「今度でいいや。カメ吉水槽に戻そう。」
そう言って離れに向かってしまった。