あなたが私にできる事
私は不在着信を知らせる光が点滅する携帯を見つめた。
「しかしみっきーの携帯ってすごいよな。」
「確かに。俺絶対持ちたくない。…って重っ!」
山口くんが持ち上げた美紀の携帯には、ゴチャゴチャとストラップがついていた。
おまけに本体に散りばめられたスワロフスキー。
「逆にエリザベスの携帯もすごいけどな。」
「え?」
「女の子のくせにストラップ一つついてないじゃん。しかも黒って…。」
「うるさいなぁ。」
恭ちゃんはそれだけ言うとクラスの男子に呼ばれて行ってしまった。
「山口くん…。」
「ん?」
私は制服のポケットから携帯を取り出す。
チリンと響く軽やかな音。
それは山口くんと色違いのピンクの鈴がついたウミガメのストラップ。
「つけてくれたんだ!」
彼は嬉しそうに笑うと自分のストラップと私のストラップをぶつけて鈴の音を鳴らした。