あなたが私にできる事



何も言えずに曖昧に微笑む私に山口くんは何も言わなかった。



「このツリー、借り物なんだ。」



彼は少しわざとらしいくらい明るく言った。



「へ~。そうなんだ。」



私も何事もなかったかの様に返す。



「友達が使わないっていうから持ってこさせたんだよ。飾り付けも手伝わせたんだ。」



「それって、花火一緒に見たっていう友達?」



「そうそう!よく覚えてるね。」




だって私はその会ったこともない友達に嫉妬したんだから。



その友達になりたいとさえ思ったんだから。




「どんな人なの?」



彼は眉間にシワを寄せながら悩んでいた。



「うー…ん。…変なやつ?…かな。」



「会ってみたいな…。」




彼の表情が固まった。



そんな気がしただけかもしれない。



「あのさ、神崎さん。俺…」





< 195 / 280 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop