あなたが私にできる事
何も言えずに曖昧に微笑む私に山口くんは何も言わなかった。
「このツリー、借り物なんだ。」
彼は少しわざとらしいくらい明るく言った。
「へ~。そうなんだ。」
私も何事もなかったかの様に返す。
「友達が使わないっていうから持ってこさせたんだよ。飾り付けも手伝わせたんだ。」
「それって、花火一緒に見たっていう友達?」
「そうそう!よく覚えてるね。」
だって私はその会ったこともない友達に嫉妬したんだから。
その友達になりたいとさえ思ったんだから。
「どんな人なの?」
彼は眉間にシワを寄せながら悩んでいた。
「うー…ん。…変なやつ?…かな。」
「会ってみたいな…。」
彼の表情が固まった。
そんな気がしただけかもしれない。
「あのさ、神崎さん。俺…」