あなたが私にできる事
欲張りな願い
年明けは今年も一人だった。
母は毎年仕事でいない。
それが本当に仕事なのかどうかはわからない。
目の前の時計が0時を刻むのを見届けた後、布団にもぐり込む。
ウトウトし始めた時、携帯にメールが届いた。
送信者は山口くんで私は体ごと起き上がる。
『あけましておめでとう。
今年もよろしく。』
ありきたりなあいさつ文。
それなのに“今年も”の部分が気になった。
そこには3月よりも先のことも含まれているのだろうか。
あきらめると決めたはずなのに。
いいチャンスだと思ったはずなのに。
『こちらこそよろしく』
窓の外で酔った人たちが騒いでいるのが聞こえた。