あなたが私にできる事
美紀が左手を太陽にかざしながら指輪を見つめる。
その姿に初詣の時の山口くんが重なった。
「恵梨香はさ、ヤマとどうなの?」
この子はなんてタイミングがいいのだろう。
「どうって、何?」
「う~ん。ラブ的に好きじゃないの?まだライク?」
私は曖昧に微笑む。
ここで肯定できない。
そんなことしたら美紀はきっと私と山口くんをくっつけようとする。
私には彼氏はいらない。
山口くんは遠くに行ってしまう。
私は山口くんをあきらめるんだから。
「ヤマは好きだと思うよ?恵梨香のこと。」