あなたが私にできる事
山口くんは笑顔で私を迎えてくれた。
「いらっしゃい。
いや~、やっぱり試験が終わると気が楽だよね。結果は来月なんだけどさ。
ちょっと待ってて。母屋にココアあったから取ってくるよ。」
彼は受験の解放感からかいつもよりテンションが高かい気がした。
部屋に一人で残される。
このドアが開いた時から私の視線は一か所に止められていた。
本棚の中に並ぶ緑の冊子。
ずしりと重たいそれを取る。
その時、隣に並んでいた封筒も一緒に引き抜いてしまった。
パサリと音を立て床に落ちる。
中身が少し出てしまった。
それは何枚ものスナップ写真。
写っているのは、卒業アルバムで見たツーショット。
やっぱり山口くんとその人は仲良さそうに笑っていた。