あなたが私にできる事
彼はしばらく動きを止めたままアルバムと私を交互に見ていた。
そしてその表情を緩めた。
「なんだ…。そっか。ばれちゃったか。」
私から視線をそらし、頭を掻く。
「何度か言おうと思ったんだけどタイミングがなくてさ。」
ココアを拾い、キッチンに向かった彼はやかんに水を入れコンロにかける。
「俺、和希と友達なんだ。」
なんで知らないふりなんてしたの?
私の叫びは声にはならなかった。
「神崎さんとのことも、知ってた。
あいつ、つき合った初日に報告しに来たんだ。わざわざ。」
山口くんは懐かしそうに目を細める。
「ちなみに別れた日も。」
それは私が初めて山口くんとちゃんとした会話をした日。
「その日、和希に頼まれた。
恵梨香のことよろしくって。」