あなたが私にできる事
入口に背を向けるようにして立っていた彼が驚いて振り返った。
「あ…。神崎さん。」
「山口くん…。」
私の顔を見た途端、気まずそうに目をそらされた。
そんな戸惑いなんて気にしないでツカツカと彼に詰め寄る。
「はい!コレ。」
ビニール袋を山口くんに押しつけた。
「え?」
山口くんが恐る恐るその中をのぞく。
「あ…。これって…。」
「バレンタインデー…おめでとう。あと、誕生日もおめでとう。」
彼はビニール袋の中からキレイにラッピングされたチョコを取り出した。