あなたが私にできる事



私の頬に当たる山口くんの髪。



痛いくらいきつく絡められた両腕。



背中で響く少し早い鼓動…。







「俺も…好きだから。神崎さんのこと。」





耳元で聞こえた少し高いその声が私の胸に染み込んでいく。





その言葉を噛みしめるように目を閉じると、涙が流れた。









山口くんは腕を離すと私の体を自分のほうへ向けさせた。






私を見下ろす彼は少し困ったように微笑んで、親指で私の涙をそっと拭う。





「ありがと…」








そう言い終わらないうちに私の唇には彼の唇が重なっていた。








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