あなたが私にできる事
彼の顔がゆっくりと離れていく。
恥ずかしそうに笑う顔。
私を見つめる優しい瞳。
私は彼の胸に顔を埋めた。
ようやく
願いが叶った。
あの時、保健室でできなかったこと。
なんの躊躇いもなく思いっきり彼の背中に両腕をまわした。
山口くんは何も言わずに抱きしめ返してくれた。
そして私の頭をそっと撫でる。
その温もりが嬉しくて、私は幸せ過ぎて
この寒い教室の中、二人で凍ってしまえたらいいのにと思った。