あなたが私にできる事
彼ら
「ずっとこうしてたいな…。」
頭の上で彼の声が響く。
私は慌てて彼から離れた。
「やめてよ。こんなところで。」
「先に抱きついてきたのはそっちだろ?」
言葉とは正反対の甘い口調。
優しく私に微笑みかけるその瞳を直視できなくて、立っていることもままならなくなり、近くの椅子に座った。
山口くんはポンと私の頭の上に手を置くと、髪がぐちゃぐちゃになるほど撫でまわす。
「全部話すよ。和希のこと。」
そして隣の机に腰掛ける。
「うん、ちゃんと聞く。」
うん。大丈夫。
彼のことを信じよう。