あなたが私にできる事
山口くんは机から降りると私の隣に座り、握りしめられた私の手を取った。
「大丈夫。今は、本気だから。
そんな顔するな。」
その温もりは手だけではなく心をも包んでくれる。
「その後、真理子に告られてつき合うことにした。神崎さんを忘れる為にね。」
握る手に力がこもる。
私は握っていた拳を開き掌を返すと彼の手を握り返した。
安心したように手の力が抜ける。
「神崎さんと距離を置くのは大変だったよ。
和希はすぐのろけ話してくるし。2年になったら同じクラスになっちゃうし。」
山口くんの話し方が面白くて私はクスクスと笑ってしまう。
「笑い事じゃなかったんだからな?」
「うん、ごめん。続けて?」
「それで、1年前…。」
今度は私の手に力がこもった。