あなたが私にできる事
まさか、こんなにも穏やかな気持ちでこんなことが言えるだなんて思ってなかった。
「そっか。
離れ離れになっちゃうんだね。
だけど、おめでとう!」
「ありがと…。」
山口くんは不満そうに私を見る。
「何?」
「神崎さんのせいだからな。」
そう言いながらビリビリと包装紙を破く。
「神崎さんが“受験がんばって“なんて言うからついがんばっちゃったっつーの。
手抜きゃ落ちれたのに。
そもそもこんなことになるなら地元の大学にしてたのに。」
「そういえばどうしてそこに決めたの?」
彼は嫌そうな顔で私を見た。
「…神崎さんが…、俺のこと無視するから…。ここに居たって意味ないって思って。
それなのに志望校決めた途端“お友達に戻りましょ”とか言われるし。
担任と親は今さら大学変えるとか言いづらい感じになってるし。」
ぶつぶつと続ける。
「山口くん…。なんか乙女だね。」
そんな姿に私は笑いを堪えることができなかった。