あなたが私にできる事
数日後ーーー
私の高校生活の幕が下りた。
何を感じるでもなく、何を思うわけでもなかった。
私の中に残っているものといえば、たくさんの行事でも、毎日を過ごした校舎でも、人々の顔でも、何もなかった。
ただ、山口くん。
その存在だけが私の中に強く残る。
「恵梨香ー!写真撮ろー!!」
最後のホームルームはとっくに終わったのに、教室や廊下はまだ卒業生で溢れ返っている。
カメラ片手にこっちに来る美紀の背後に目がいった。
「ごめん。美紀。ちょっと待ってて。」