あなたが私にできる事



「…がんばんなよ。
あんたとは、もう二度と会うことはないと思うけど…。もし別れたなんて耳に入ったらあんたの家突き止めて殴りに行くから!」



阿部さんは卒業証書の入った筒で私の頭をコンと叩くと背中を向けた。




「ありがとう!」



彼女は振り向くことなく右手を上げ、去って行った。







「真理子と何話してたの?」




いつの間にか山口くんが私の後ろにいた。



「別に。」



「なんか怒ってる?何か言われた?」




チラッと山口くんを見上げる。



「…ムカつく。」



「え?何が?」



「山口くんが“真理子”“真理子”言ってんの聞くとすっごいムカつく。」



彼が私を見下ろしながら笑いを堪えている気配がした。



なんだか悔しくて踵を返すと一人で教室に戻る。






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