あなたが私にできる事
愛するということ
卒業式を終えてからのほとんどの時間を彼の部屋で過ごした。
家には着替えを取りに帰る程度だ。
彼を“久志”と呼ぶことにも馴れ始め、これから会えなくなる分を埋めるかのように抱き合った。
「恵梨香。そろそろ起きないと。」
彼に名を呼ばれることはなんて心地いいのだろう。
久志がモゾモゾとベットから降りる気配がしたが、私はまだこのまどろみの中に浸かっていたかった。
しばらくすると甘いココアの香りが部屋中に広がり始めた。
「久志いる?」
突然、ノックもなしに開けられたドア。
懐かしい声…。