あなたが私にできる事
笑いながら傘を私に見せる。
「コレ、俺が書いたんじゃないんだ。友達の字。すぐくだらないイタズラする奴でさ。」
「そうだったんだ。だけどありがとう。あの後雨強くなってきたから助かった。」
“ならよかった”彼はそう言って階段に向かった。
「あれ?帰らないの?」
去っていく彼の背中に呼びかけた。
「親の迎え待ち。」
「だったら私も一緒に時間つぶしてもいい?」
私の言葉に彼が驚いた表情を見せた。
「あっ。ごめん。勉強の邪魔だよね。」
「別に邪魔じゃないよ。暇だから勉強してただけだし。」
サラッとそう言うと私の方に戻ってくる。
だが私を追い越して玄関を出てしまった。
戸惑っていると振り返って言う。
「コンビニ、行かない?」
私は返事をせずに彼の後を追った。