あなたが私にできる事
堰を切ったように溢れだした涙はなかなか止まってくれなかった。
これ以上、久志に迷惑かけたくないのに。心配させたくないのに。
彼が遠くに行ってしまう不安がそれを上回る。
「久志が…いなくなっちゃったら…どうやって生きていけばいいの?」
彼が両手で私の頬を挟む。
「まだ1カ月しか一緒にいないのに…。」
久志は私の顔をティッシュで拭きながら笑う。
「俺は平気。」
そう言う久志の顔には嘘は一つもないように見えた。
強がっているようにも見えない。
「だってさ、3年も恵梨香に片思いしてたんだよ?それと比べたら余裕。
距離なんて関係ない。恵梨香は他の誰よりも俺のそばにいるから。」
私の手を掴むと彼の心臓に持っていく。
波打つ鼓動と温もり。
その心の中に私の居場所があるんだ。