あなたが私にできる事
彼の親が迎えに来るまでいろいろな話をした。
彼の名前は“和希”と書くこと。
私とは違う学区の中学に通っていること。
だから親に送り迎えをしてもらっていること。
今の塾の評判がいいからわざわざ通っていること。
「えりか?ちゃんはどうして遅くまで残ってるの?」
「家にいたくないから。っていうかどうして私の名前知ってるの?」
和希くんは無言で私のバックを指差した。
バックからERIKA&HIROとデザインされた携帯のストラップが覗いていた。
それは今つき合っている彼氏とお揃いだった。
「あっ。さすが。するどいね。」
「“ひろ”って彼氏?」
「うん。」
「彼氏は暇つぶししてくれないの?」
「学校の外でまで彼氏に会うのかったるい。」
和希くんは何も言わずにスポーツドリンクを一口飲んだ。
「和希くんは彼女いる?」
「そんなのいらないよ。」
笑いながらそう言う彼に好印象を持った。