あなたが私にできる事
猫と犬
山口くんは相変わらず私にかまう。
朝や帰りのあいさつだけでなく、休み時間に話しかけてくるようになった。
困ることも迷惑でもないが…うざい。
「神崎さん、これあげる。」
目の前で嬉しそうにパックのココアを持った山口くんがいた。
「牛乳欲しかったのにボタン押し間違えてさ〜。ココアなんて飲みたくないからあげるよ。もちろんオゴリだから。」
机の上のトンと置かれたココア。
本人はのんきに牛乳を飲み始める。
「ありがと。」
渋々といった感じで受け取りストローを挿す。
「あー!!恵梨香ばっかりずるい。美紀にもおごってよぉ。」
「みっきーはまた今度。」
まるで人ごとの様に楽しそうな二人のやり取りを眺める。
「あっ。ヤマー?俺やっぱり餌付けが一番だと思うんだけど。」
見知らぬ男子がいきなり乱入してきた。
「あれ?恭ちゃん。何々?餌付け?」
美紀はこの男の子のことを知っているようだ。
「うん。今実践中。」
山口くんは私を見たままそう言う。
突然3人に囲まれた私はキョロキョロするしかなかった。