あなたが私にできる事
「ヤマが猫を拾ったんだって。この間の日曜だっけ?海で。だけどなかなか懐いてくれないらしくてさ。どうしたらいい?って聞くから、やっぱり餌付けだろって思うんだけど…。」
恭ちゃんと呼ばれた人物が美紀に説明する。
日曜、海、私を見る山口くん、手に握られたココア。
嫌な予感がした。
「へ〜。そうなんだ。どんな猫なの?」
何も知らない美紀が無邪気に尋ねた。
「う〜ん。まぁまぁ美人で…。」
自分の片眉が上がるのがわかった。
「いや…、なかなかの美人さん。」
山口くんの目線が顔よりも上に行くのを感じる。
「毛色は黒。…の長め。ツヤとかもいいよ?」
「へ〜。名前は?」
山口くんにジッと見つめられる。
そして私から視線を逸らして言った。
「えり…ザベス?」