あなたが私にできる事
慣れ
憂鬱な朝を迎える。
あいさつの飛び交う下駄箱。
私に話しかける人は誰もいない。
その方がいい。
朝っぱらから誰かと会話するなんて迷惑だ。
「あっ。おはよー。エリザベス。」
本当に迷惑だ。
「高野くん。その呼び方やめてって言ったよね?」
“高野くん”という部分に力を込めて言いながら振り返る。
「恭ちゃんって呼んでよ。エリザベス。」
わざとらしくウィンクする男を無視してすたすたと教室に向かった。
「ちょっとちょっとスルー?冷たいなぁ…。エ・リ・カ…。」
声が近づいてきたと思ったら突然耳元で名前を囁かれた。
「…っ!!」
耳を押さえて首をすくめる。
「気持ち悪いんだよっ!」
ドカッ!
反射的に足が出てしまう。
「情熱的だなぁ。エリザベス…。」
恭ちゃんが涙目になりながら蹴られたすねをさする。