あなたが私にできる事
「恭一。また神崎さんにちょっかい出してるの?」
山口くんが教室から顔を覗かせる。
「ヤマ。すっげー凶暴なのな。この黒猫。懐かせるのは無理だ。諦めろ。」
思いっきり眉間に皺をよせ恭ちゃんを睨み近寄った。
「早く自分の教室行ったら?」
そして顔をゆっくりと近づけ耳元で囁く。
「キョ・ウ・イ・チ?」
「ばっ…。やめろよっ!」
赤くなる恭ちゃんを鼻で笑って教室に入った。
「あはは~。バカ恭一~。うちのエリザベスなめんなよ。」
「ごん太も余計なこと言うな。」
山口くんは“はーい”と言いながら私の後についてくる。
そして私が席に着くと私の前の席の椅子に腰かけた。
「みっきー遅くない?」
私は無言で窓の外を指さす。
「そっか。今日は雨だった。」
美紀は雨が降ると学校を休む。
理由はただ一つ。“面倒くさいから”
あの子のワガママは一生治らないだろう。