あなたが私にできる事


チャイムが鳴り先生が来ると山口くんは自分の席に戻っていく。


ここ最近毎朝そうだ。


そこに美紀が加わることもあれば恭ちゃんが加わることもある。



どうでもいい話をみんなでする。



そんなこと今までしたことない。



いつも一人で座って窓の外を眺めていた。



突然訪れた変化に戸惑う。


だけど嫌な気分はしなかった。




私の失恋話はあれ以来していない。


美紀も恭ちゃんもその話題について触れてこないからだ。


きっと美紀は知りたくて仕方ないだろう。


それでも聞いてこないのは私と1年間過ごした成果だ。




“お互いの詮索はしない”




これが私と美紀の暗黙のルールだった。



性格の全く違う私たちが一緒にいる理由。



あの子と私はある意味では似ている。






< 38 / 280 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop