あなたが私にできる事
チャイムが鳴り先生が来ると山口くんは自分の席に戻っていく。
ここ最近毎朝そうだ。
そこに美紀が加わることもあれば恭ちゃんが加わることもある。
どうでもいい話をみんなでする。
そんなこと今までしたことない。
いつも一人で座って窓の外を眺めていた。
突然訪れた変化に戸惑う。
だけど嫌な気分はしなかった。
私の失恋話はあれ以来していない。
美紀も恭ちゃんもその話題について触れてこないからだ。
きっと美紀は知りたくて仕方ないだろう。
それでも聞いてこないのは私と1年間過ごした成果だ。
“お互いの詮索はしない”
これが私と美紀の暗黙のルールだった。
性格の全く違う私たちが一緒にいる理由。
あの子と私はある意味では似ている。