あなたが私にできる事


誰かの好きな男に手を出した。
誰かの彼氏を取った。
男好き。



どこまでが真実でどこまでが嘘かわからない噂が飛び交った。


結果、クラスの女子全員に無視されていたらしい。


そのくせ何かあるとすぐに突っかかる。




「私も悪かったんだよね。
誰かの好きだった子が美紀のこと好きだったんだって。誰か忘れたけど。
ケンカも売られるとつい買っちゃうしさ。
おまけに男の子と仲良かったから。そりゃいじめられもするよ。」



いつだったかケロッと私に話してくれた。



2年になってクラスがかわっても彼女は一人でいた。
噂は学年中に広まっていてみんな彼女を敬遠していたからだ。



「恵梨香ちゃん。一緒に食べていい?」


ある日、私が一人でパンを食べていると美紀が話しかけてきた。


「好きにしたら。」


私たちの最初の会話だった。



「お互い一人みたいだしちょうどいいよね。大丈夫だよ。私女とベタベタする趣味ないから。」



「あぁ。男好きなんだっけ?」



「そうそう。でもそれって普通だよね。私女じゃん?女が男好きで何が悪いんだろ。お前らは男より女が好きなのかよ!?そっちの方がおかしくね?みたいな。」




顔に似合わないその発言に私は笑った。



それ以来、私たちは一緒にいる。


別に仲良くなったわけでも友達になったわけでもない。



ただ一緒にいるのだ。


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