あなたが私にできる事



日本庭園を思わせる庭には橋の架かる池があり鯉が優雅に泳いでいた。
手入れの行き届いた垣根。
堂々と構える瓦屋根の家屋。



「ちょ…。何これ!?何時代?っていうかデカッ!広っ!!池!?ねぇ、池だよ!鯉だよ!金魚じゃなくて鯉だよ!!」




「こっちの離れが俺の部屋だから。」




大騒ぎする美紀を気にする様子もなく山口くんが案内してくれる。



隣にいる美紀の声がキンキンと頭に響く。
だけどそれも無理もないことだ。



何かのセットかと思えるくらいの立派な家だった。というか屋敷だ。



「トイプーなのに純和風ね…。」



ちぐはぐな組み合わせ。




「神崎さん。犬扱いやめろ。」



小さな独り言は彼の耳に届いていたらしい。




「お土産持ってきたよ。」



コンビニの袋を山口くんに渡す。



「サンキュー。何々?」




「ビーフジャーキー。」



美紀はまだ一人で騒いでいる。






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