あなたが私にできる事
「卒アル発見!ヤマ!見てもいい?」
「すっげーダメ!」
慌てた山口くんが自分の飲んでいたお酒をこぼす。
和希と同じ反応だなと思った。
なぜか和希は一度も卒業アルバムを見せてくれなかった。
「今さら恥ずかしがるなよ。」
止めようとする山口くんを恭ちゃんが押さえ込んで卒アルを開く。
「やだ〜。ヤマ超可愛いじゃん。隣の子もかっこい〜。」
「頼むから返せ。」
なにがそんなに嫌なのか山口くんは必死に取り返そうとしていた。
「恵梨香も見る?」
開いたページを私に向けた。
「興味ない。」
急いで卒アルから目を逸らす。
みんなのいる前で和希のことを思い出したくなかった。
せっかくの楽しい時間が台無しになる。
その後、アルバムは山口くんに没収された。
今は布団に包まれてベットの上に置かれている。