あなたが私にできる事
「あっ。美紀明日予定あるからそろそろ帰るね。」
それは日付も変わろうかとしている頃だった。
「なら俺駅まで送ってく。まだ終電あるよな?」
山口くんは酔いつぶれてベットで寝ている。
「恵梨香はどうするの?」
「ごめ…。動ける気がしない…。」
完全に飲み過ぎた。
これが和希のことを考えないようにした代償か。
「いいよ。俺があとでどうにかしとく。」
「いいけど、手出しちゃダメだからね!」
そんな二人のやり取りが遠くに聞こえた。
こもった空気とお酒の匂いに余計気分が悪くなる。
窓を開けると冷えた風が入ってきた。
酔いを覚ますにはちょうどいい。
もぞもぞと山口くんの動く気配がした。
風邪をひいてはいけない、そう思い起こさないように布団をかけてあげる。
その時、丸まって眠る彼のお腹のあたりにアルバムがあるのが目に入った。