あなたが私にできる事
駅が見えてきた頃だった。
「ねぇ…、卒アル気になるの?興味ないって言ってたのに。」
嫌な所を突いてくる。
私は立ち止まると山口くんの背中に問いかけた。
「松永和希って知ってる?」
歩みを止めた山口くんがゆっくりとこっちを見る。
「松永和希?」
「山口くんと同じ中学の…。」
長い沈黙が二人を包む。
「あぁ!なんとなく覚えてるかも。無駄に頭良かった奴だよな?」
やっぱり山口くんにとって和希は忘れてしまうような存在だったのだ。
「そいつがどうかした?」
二人が知り合いではなかったことに心が軽くなった。
「うん。この間別れた相手…。」