あなたが私にできる事
「へぇ…。そうなんだ。」
彼にしては薄い反応だった。
「騒がないんだ?」
「どういう意味だよ。俺そんなに無神経じゃないよ。」
そう言って笑う山口くんの笑顔は私をほっとさせる。
和希と歩いた道。
和希と見た景色。
なにもかもが懐かしく感じる。
だけど何度数えても和希と別れてからまだ1カ月しか経っていなかった。
「ありがとう。」
駅で今度は私が彼を見送る。
「帰ったらアルバム見よーっと。」
山口くんはヘルメットをしながらそう呟いた。
「ごん太、ハウス。」
「じゃーなー。」
笑いながら原付を発進させた。
私は彼の背中が見えなくなったのを確認して改札を通った。