あなたが私にできる事
新しい教室に移動する途中、恭ちゃんに出くわした。
「あっ!エリザベス、みっきー!何組だった?」
「美紀は1組。恵梨香は4組だって。離れちゃったよ〜。」
廊下では誰もが同じ会話をしている。
だけど私には誰がどのクラスになろうがどうでもよかった。
「俺3組。みんな離れたのかよ。ヤマは?」
「神崎さんと一緒。」
彼はいつの間にか私の横にいて残念がる恭ちゃんに向かってピースしている。
「だけど体育は一緒だしよろしくな。エリザベス。」
「それって男女別だから。じゃ。」
まだ騒いでいる恭ちゃんを置いて教室に向かった。
「一緒に行こうよ。」
後ろから山口くんが追いかけてくる。
「あいつら絶対弁当食いに来るぜ。」
「私の静かな昼休み返して…。」
うんざりという私を見て彼は声を上げて笑う。
2年も毎日過ごしていたというのに教室の中に知った顔はあまりいなかった。
なんとなく覚えている前に同じクラスだった人たち。
どうせ誰も話しかけてなど来ない。
あと1年、とにかく平和に過ぎて欲しかった。