あなたが私にできる事
「そういえばヤマが言ってた猫はどうなった?」
優くんが山口くんに尋ねる。
「あぁ…。」
彼は私をチラリと見た。
山口くんはいろいろな人にこの話をしていたらしい。
今回は絶対にそれが私だと知られたくない。
私が何も反応しなければいい。
山口くんが何を話そうが関係ないふりをすればいいのだ。
「この間添い寝してくれたよ。」
「へ~。懐いてんじゃん。よかったな。」
「いや、でもたまたまっていうか偶然っていうか。まだまだ警戒心はといてくれてないんだよな。だぶん。」
こいつは何を考えているのだろう。
にこっと笑って私を見た。
「席戻る。」
余計な感情を出さないようにそれだけ言うと私はその場から逃げた。
結局、私に平和な日常は戻ってこないようだ。