あなたが私にできる事
遠足
新しいクラスになって初めてのイベントは遠足だった。
行き先は水族館。
魚なんかに興味はない。
浮かれるみんなを横目に見ながらバスに乗り込んだ。
後ろの席はもうすでに埋まっている。
私の苦手な騒がしい女子の集団。
巻き込まれたくないから前の方の席に座った。
どうせ隣には誰も座らないだろう。
目的地に着くまで寝てやり過ごそうと思った。
「あっ!ヤマ!おはよー。ここ空いてるよ!」
無駄に化粧の濃い女子が後ろで大声を出す。
頭に響くキンキンとした声。
自然と眉間にシワがよる。
「俺バス酔いするから前でいいや。」
不服そうな女子たちの声が聞こえた。
ドサッという音と共に座席に響く衝撃。
眼を開けて隣を見ると山口くんと目があった。
「おはよ。神崎さん。」
「おはよ…。なんでここ座ってるの?」