あなたが私にできる事


「すっっげー。見ろよ。あの歯。あんなんに噛まれたら一発だよな。一発。」



何が一発なのかさっぱりわからない。


彼はもう5分も水槽の前で興奮していた。



「もういい加減にしたら?」




飽きた私は水槽を背もたれにして立っていた。


そこからは子供のようにはしゃぐ山口くんの顔がよく見える。



「わかったわかった。ならこっち来い。」



勝手に歩いて行く山口くんについて行く。



「はい。これで満足だろ?」



目の前の水槽にはイワシの群れやカツオなどが泳いでいた。



「?」



ここに連れて来られたところでどんな反応をすればいいのかわからない。




「あっ、だけど水槽の中のお魚は食べられないからな。エリザベス。」



子供をあやす様に言われた。



「ごん太、ハウス!」



誰もいない館内に私の声が響き渡った。




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