あなたが私にできる事
私たちはまたウミガメを見に行った。
「そんなに亀好きなの?」
「別に。ただ動きが面白いから。」
捕らわれた魚たちが意味も無く泳ぎ続けるこの空間の中で、この小亀たちだけは自由に見えた。
他の何よりも必死に生きている様に見えた。
亀の観察に没頭していたらにぎやかな声が聞こえてきた。
ショーを見終わった人たちがこっちの方にも来たらしい。
その中に見覚えのある人物。
「美紀!」
「あっ。恵梨香!」
彼女はご機嫌だった。
「見て見て。美紀、ハーレム状態なの。超楽しんでるから邪魔しないでね?じゃぁね~。」
それだけ言って同じクラスだと思われる男子を5人引きつれて去って行った。
「なんかみっきー輝いてるな。」
「うん…。だけど相変わらずクラスの女子は口きいてくれないらしいよ。」
「大物だよな…。」
「うん…。」
私たちは再び亀の観察を続けた。