あなたが私にできる事



突然、山口くんが後ろを振り返った。



「やべっ。ごめんね。神崎さん。ちょいトイレ行ってくる。」



それだけ言うと逃げるように走って行った。



「あれ?ヤマどこ行っちゃったんだろ。」



直後に聞こえてきたのは今朝から何度も耳にしてきた声。



名前のわからないとにかく化粧の濃い女。



「っていうかさ、どうして神崎さんなんかと一緒にいるんだろうね。」




「本当だよねぇ。変な組み合わせ~。」



友達らしき人と私を見ながら言いあう。



こいつらは何をしたいんだろう。



「ねぇ、神崎さん。ちょっとキレイだからって調子乗んないでくれる?」



化粧の濃い女が私を睨んだ。



「ありがと…。」



「は?何礼言ってんだよ!」


この人はつけまつ毛が似合わない。



「褒めてくれたから。キレイって。だからありがとう?」



「バカじゃない?」



それだけ捨てゼリフのように言い残すと彼女たちはどこかへ消えていった。



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