あなたが私にできる事



帰りのバスでもやっぱり山口くんが隣に座った。


後から乗り込んだ市川みゆきの視線を感じた。



「見て!」



何やらガサガサと音を立てていた山口くんが目の前に何かをぶら下げた。
チリンと軽やかな音が響いた。



「ウミガメ…?」



小さな鈴のついたウミガメのストラップだ。



「お土産屋さんで買ったんだ。」



彼はポケットから携帯を取り出すとそれを丁寧につけていく。



「二つ入りだったからこっちは神崎さんにあげるよ。」



私にストラップを差し出した。



「いいよ。別に。」



「でも青はいいとしてピンクのストラップなんてつけれないんだけど。それに神崎さんウミガメ好きだし。」



別に好きじゃない。



そう言う前に私の手にはストラップが握らされていた。



「ありがとう。」



押しつけられたストラップは携帯にはつけずにカバンにしまった。







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