あなたが私にできる事
バツが悪そうな顔をする恭ちゃんの横で山口くんが苦笑いする。
「誰にやられたの?」
「3組の菊池さん。トイレで手洗ってたら後ろからバシャーンって。」
質問したのは山口くんなのに美紀は恭ちゃんを睨みながら答えた。
「なんで俺に言うんだよ?」
二人が窓際の席に移動してくる。
「美紀が恭ちゃんと仲いいのが気に入らないんだって。」
美紀はそう言うとイーっと歯を剥き出しにした。
「なんだそりゃ!?」
恭ちゃんが呆れた様な顔をした。
「女なんてそんなもんだよ。で?美紀。どうすんの、その女。」
「どうもしないよ。とりあえず“恭ちゃんに言いに行こー”って言いながら逃げてきたから、もう何もしてこないか酷くなるかのどっちかだよね。」
恭ちゃんは何か言いたそうな顔をしてこっちを見ていた。
「何?」
「俺が出てったらややこしくなる…?」
始めから答えのわかっているような聞き方だった。
「「うん。」」
力強く言ったそれは美紀とピッタリ重なった。