あなたが私にできる事
うなだれる恭ちゃんを山口くんがなぐさめている。
そんな二人を見ながら美紀が言った。
「恵梨香も気をつけなよ。」
何のことかわからずに美紀を見る。
二人には聞こえていないようだ。
「噂になってるよ。遠足の時にヤマと二人でいたの。」
「ただ一緒にいただけだよ?」
「あれでヤマ結構モテるんだから。相当反感買ってたよ。」
女子の視線は痛いほど感じていた。
だけどただの興味本位だろうと思い込んでいた。
どうせ私が何をしようと誰も何も思わないだろうと…。
「ふ~ん。モテるんだ。山口くん。」
窓枠に頬杖をつきながら山口くんを眺める。
確かに顔は整っているし、優しい。背も高いし、お金持ちだ。
だけど私にとってはお節介で面倒くさくてウザいだけの存在。
そして、なぜか何でも話してしまいそうになる。
厄介な人物だった。
不意にこっちを向いた山口くんと目が合った。