あなたが私にできる事
しばらくすると外で何か音がした。
美紀と恭ちゃんが帰って来たのだろう。
…と、思った。
「久坊~。原付貸して~。」
勢いよくドアを開けて入ってきたのはきれいな女の人だった。
「おっ!何いっちょ前に女なんて連れ込んで。こんにちわ。」
ずかずかと部屋に入ってくると山口くんの頭を叩きながら私を見る。
「…こんにちわ。」
「初めまして。久坊のねーちゃんです。」
彼女の笑顔は山口くんとそっくりだ。
暖かい日だまりの様で安心する。
「ほら。早く鍵。」
お姉さんは山口くんを蹴りながら催促する。
「はい。ガソリン入れといて。」
「ありがと。じゃね~。」
急いでいたのか鍵を受け取ると走るように出て行った。