あなたが私にできる事
「…愛してる。」
体を寄せ合うベットの中で言われた言葉。
顔から血の気が引いていくのを感じた。
私はベットから出ると散乱した服を拾い集めて身につける。
「どうしたの?」
後ろから慌てた和希の声がした。
「今日は帰る。バイバイ。」
顔も見ずにそれだけ言うと急いで和希の家を後にした。
首筋に感じる北風。
寒さに身を震わせた。
マフラーを忘れてきたことに気づいたが戻る気にはなれなかった。
アスファルトに響くブーツの乾いた足音。
それはいつしか和希に囁かれた言葉へと変わっていた。
なんで彼はそんなことを言ったのだろう。
家に帰ると和希からメールが来ていた。
『マフラー忘れてるよ。渡したいから明日の2時、いつものところで待ってる。』
そして私は別れ話を切り出した。